何度がSNS等でも投稿しましたが、私は今年の3月まで地元の消防吏員(消防士は正式には「消防吏員(しょうぼうりいん)と言いますが、以下は消防士と書かせていただきます。)として約11年間勤務していました。間もなく退職して2カ月が経とうとしています。早いものです。
現在は「元」消防士となったわけですが、これまで「消防士になるにはどうしたらいいですか?」という質問を受けたことが何度かあります。
本記事では消防士になるためにというよりは、私なりの消防士に向いている人について投稿させていただきます。あくまで参考までに読んでいただければ幸いです。
失礼な表現もあるかもしれませんので、あらかじめご了承ください。
①協調性がある人
消防の仕事はほぼ団体行動です。特に現場活動は隊として団体行動をすることになります。事務(消防士にも事務仕事はあります)にしても、担当係の職員同士で連携を取りながら事務をすることになります。さらに消防士は24時間勤務です。消防署という同じ空間の中で丸一日消防士の人たちが勤務します。つまり、団体行動がキチンと出来る人が消防組織の中でも円滑に仕事が出来る人なのだと思います。
そのため個人主義の人、個性的な人、和を乱す人は残念ながら不向きだと私は考えています。たまにドラマなどで隊長の指示を無視して「自分が要救助者を助けるんだ!」といったシーンを時折見かけますが、あれを実際の現場でされると隊全体に迷惑をかけてしまいます。決して情熱溢れるシーンではありません・・・
②団体スポーツの部活を経験した人
①に通じるものがありますが、消防士は体育会系の人が多いです。全員がというわけではありませんがスポーツマンが非常に多いです。体力勝負な場面が多いので自然とそうなります。
そのうえ協調性が求められますので団体スポーツの部活、あるいは部活経験がなくても団体スポーツの経験者は向いています。向いているというよりは消防士の採用試験の際には特に有利です。
野球・サッカー・バスケットボール等の団体スポーツ、特に「野球部出身」というだけで消防士としてはかなり有利ですし、消防士の中でも一目置かれると思います。
③気にしない人
消防に限ったことではありませんが、消防士の仕事は良いことばかりではありません。嫌なことや理不尽な言動もあります。それは現場でも起こりますし、消防の内部でもあります。傷病者本人や家族から訳の分からない暴言を吐かれたり、他の消防士から色々と言われたり・・・等々。
そんな時、それらの言動を100%真に受けてしまうと精神的に参ってしまいます。
言い方は悪いかもしれませんが適度に不真面目な人、理不尽な言動を気にしない人は消防士としてやっていく大事な要素を持っている人だと思います。
逆に真面目な人、何事も一生懸命に頑張ろうとする人は仕事内容は問題ないかもしれませんがメンタルを病んでしまう可能性が高いと思います。消防士という仕事はかなりストレスのかかりやすい仕事だそうです。特に真面目だと言われるような人は体が健康でも精神面で・・・といった危険性があると考えています。
おそらく本記事は前職場の消防の皆様も読まれていることと思います。「お前は向いていない方にばかりに当てはまっているな」「お前が消防について発言するな」と笑われていそうですが、私が考える消防士に向いてる人とはこういった人です。
人間向き不向きというものはあります。どこに行っても万能に働ける人はいたとしても少数だと思います。
「こうなりたい」と思っていてもそれが自分に適しているかは別問題です。私自身、そのことにもっと早く気づけばもしかしたら・・・と思うことがたくさんありました。「消防士を辞めたら死んでしまう」「消防こそ人生の全て」くらいに思っていたので、どんなことにも耐えなければと変な強迫観念を持ち続けていました・・・
「消防士も務まらないやつはどこにいってもダメ」と昔言われたことも我慢し続けた理由かもしれません。結果として私は数年前に体と精神面を病んでしまいました。
職種や職場環境によって、その人の能力を存分に発揮出来ることもあれば、苦手なことを仕事としてしまったばかりに辛い思いをし毎日過ごしてしまうこともあります。消防士に限らず、自分がなりたい仕事は本当に自分に向いているのか?自分の適性を判断しないで労働条件のみで選んでいいのか?
おせっかいなことかもしれませんが、これから就職活動を始める人や、なりたい仕事に向かって頑張っている方は今一度考えてみても良いのではないでしょうか?